これまでの有識者会議では個別の課題について議論や検討が進められてきましたが、第2回ではそれに加えて昨今のソーラーシェアリングを巡る事情はどのように見通せるかが事務局から提示されました。FITの調達価格が低下するなか、今後出現が予想される事業モデルとして「1.地産地消の推進(供給先の変化)」「2.新技術の導入による発電効率・生産性の向上(設備の変化)」「3.規格化や大規模化による効率化(規模の変化)」が示されました。
いずれも、ソーラーシェアリングに限らず再生可能エネルギーを巡る状況が変化するなかでは起こり得るものだと考えられます。特に目先では企業活動における再生可能エネルギーの確保や、ゼロカーボンシティなど地域脱炭素の動きを進める上で地域を問わない再生可能エネルギー電源として注目されていけば、おのずと1や2の方向に進むことになると予想されます。
また、化石燃料からのエネルギー転換が遅れている農林水産業分野では、「みどり戦略」を踏まえた農山漁村地域エネルギーマネジメントシステム(VEMS)が確立されていくことで、農山漁村の豊富な自然資源を活用した再生可能エネルギー導入が可能となり、その中核としてあらゆる地域で取り組めるソーラーシェアリングの価値が大きくなります。
目先では、オフサイトPPAモデルなどによるエネルギー需要が大きい企業を中心としたソーラーシェアリングへの投資拡大で、まず設備としての導入が進むと考えられます。農山漁村では自動車や農業機械などの電化といった電力需要の創出が進んだり、地域マイクログリッドの電源の一つとして事業化のリードタイムが短い太陽光発電が選好されたりするなかで、ソーラーシェアリングが導入されるといったステップが想定されます。
規模の拡大という点では、前者の企業を中心とした再エネ電源としてのソーラーシェアリングへの投資が進むなかで、1カ所当たりの発電設備としての規模は大型化していくでしょう。十分な投資マネーが入ってくればこれまで以上に案件数も増加することになります。
こうして大規模化が進むことで、ソーラーシェアリングの電源や設備を活用した農業生産の効率化が志向されるようになり、電化を含めたスマート農業の導入も進み得ると考えられます。